自費出版の著作権

著作権とは知的財産権のひとつで、著作物を創作したときに著者に発生する権利です。同じ知的財産権でも特許権や実用新案権などと違い、権利獲得のために何の手続きも必要ありません。
自費出版本の著作権は、自費出版本の原稿を、自費出版を依頼する出版社や印刷会社に渡した場合でも自費出版本の著者に帰属します。また自費出版本の所有権も自費出版の費用を出した著者に帰属します。しかし自費出版本の編集著作権及び出版権は、自費出版本を出版した出版社に帰属すると考えられます。したがって、自費出版本として出版した著作をそのまま他社から出版した場合は、自費出版本を出版した出版社の編集著作権を侵害したことになるので注意が必要です。
また自費出版本においても、他人の著作物を無断で使用したり真似したりすると著作権侵害にあたり、訴訟を起こされる場合もあるので注意が必要です。自費出版本においても引用にはルールがあり、著作権法第32条に規定されています。自費出版本においても、他人の著作物を引用したり参考にしたりする場合には、その著作物が書籍であれば「著者名・書名・出版社名・出版年」を、雑誌であれば「著者名・論文名・雑誌名・掲載頁・出版社名・出版年」を記載し、その数が多い場合は「引用文献」や「参考文献」として本の最後にまとめて掲載する必要があります。引用の範囲を超えるものは転載の扱いになり、自費出版本の場合でも著作権者の許諾が必要です。この場合転載許諾申請を行います。許可なく転載すると自費出版本の場合でも著作権の侵害になる可能性があるので注意が必要です。


自費出版の印税

印税とは出版社が著者に対して支払う著作権使用料のことです。共同出版型の自費出版では印税が発生しますが、個人出版型の自費出版の場合には印税は発生せず、自費出版本の売上から手数料などを差し引いた金額(売上の50%程度)が支払われます。ただし個人出版型の自費出版の場合でも、増刷が発生しその費用を出版社が負担した場合には印税が発生します。
共同出版型の自費出版の場合、印税の支払い方法には買取印税と売上印税があります。買取印税は自費出版本の実際の売上額にかかわらず、初版本の発行部数に応じた金額が一括で支払われるものです。売上印税は実際に購入された自費出版本の部数に応じて印税が支払われるものです。商業出版の場合の印税の相場は本の定価の10%程度ですが、自費出版の場合はもっと低くなると考えた方が良いでしょう。
自費出版によって得られた印税は個人の収入となるため、所得とみなされます。したがって源泉徴収所得税として印税の総額から10%が引かれ、消費税が加算された額が自分の手元に実際入ってくることになります。また確定申告をすれば、払いすぎた分を返してくれます。自費出版をする場合所得税の管理は自費出版を依頼する出版社がしてくれますが、自費出版を依頼する際には印税の所得税について確認しておいた方がよいでしょう。また中には悪質な自費出版業者もいますので、印税の取り分についても契約書を交わす際に取り決めておくことが重要です。


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